青色の表現を日本画で追求している松川華子。描きたいことと描けることのはざまで奮闘する彼女の現在地について伺いました。
青、水色が印象的ですよね。
青色は好きです。極めようと思ってます。爽やかかんじが好きなのと、見る人の頭に残る気がするんです。「青い絵の子だよね」って自然と覚えてもらうことも増えてきて。
ときどき他の色でも描いてみるんですけど、どこか座りがわるくて、途中で筆が止まってしまうんです…。青い作品が多いのは、青で描きたいということと同時に、今の自分が完成までもっていける作品が青色なんだと思います。
自分で思う描き方の特長などありますか?
わたしはどちらかというと「もりもりタイプ」だと思っていて、どんどん描き足していくことが多いです。細かい描写を思いっきりやりたくて、自分が出したい色になるように何度でも塗り重ねたり、ときには削ったり、洗ったりという作業も繰り返します。そうするなかで、ぼやっとしたなかに味わいだったり、雰囲気や空気感を出していくんです。
絵画の道を選んだのはどういういきさつだったんですか?
実は中学・高校とずっと体育会系でバレー部だったんですが、高校の途中でケガをしてしまい美術部に転部したところから本格的に始めました。その美術部の顧問の先生がすごく熱心に指導してくれたんです。途中から始めたのにもかかわらず、最初のコンペで結果が出るように導いてくれたり、こうして芸術学部にも進学したので、先生には感謝しています。
日本画を選択した経緯を教えてください。
地元の愛知県に私立の芸術系大学が数校あって、お母さんと卒業制作展を見て回ったことがありました。会場ではサイズの大きい作品がたくさん並んでいて、人生でこんなに大きい絵を描くことは、芸術系の進路を選ばなかったらないんじゃないかと思ったんです。油絵やデザインの作品も同じように見ていたはずなんですが、やっぱり日本画がいちばんきれいに見えたんですよね。それでそのまま日本画専攻にしました。
実際に芸術学部に入り、本格的に日本画に取り組んでみていかがですか?
考えてみると絵が嫌いになったことがあまりないですね。もちろん切羽詰まって苦しいこともありますけど、それも含めて楽しいというか、完成した時の嬉しさが上回ります。
でも自分の絵に対しての考えなどはあまりうまく言葉にできないんです。音楽が好きでよく野外フェスやライブにも行くんですが、その場、瞬間にしかない一体感や、感動ってあるじゃないですか。わたしも作品を描くとき、その場所、その時間で感じるものはすごく大事にしています。そんな言葉にできない自分なりに感じたことを、絵を通して表現しているんだと思います。
これからの展望について教えてください。
この3月までに連続して広島と名古屋でグループ展を開催し、ひとまず展示経験を重ねました。このステップを踏まえてこれからの1年は制作に集中する予定です。
展示をしていくなかで、「がんばってるよね!」といろんな人に言ってもらえました。それは嬉しいんですけど、やっぱりまわりの人たちの取り組み方や作品を見ていると、ほかの人よりも描いてきた数、見てきた数が多くない自覚はあるんです。もっともっとバリエーションを増やしていきたいと思っています。