加藤康司
加藤康司

加藤康司は、映像と絵画を中心とした複数のメディアを組み合わせた作品を展開しているアーティストです。独自の視点から過去と現在、大きな物語と小さな物語、社会的な問題と個人的な物語を接続し、等身大のフィルターを通して新たに「物語る」作品を制作してきました。

首都圏を拠点に活動する作家にとって広島での作品発表は、2021年夏にgallery GTHE POOLの2会場で開催したFor Whom We Fight A面 / B面以来となります。「For Whom We Fight プロジェクトチーム」の一員として、タメンタイの山本功も広島でのリサーチ協力とテキストの寄稿を行った同展では、広島という土地の歴史や社会関係に関わる矛盾や緊張を、顔の見える個々人に焦点を当てながら複層的な問題提起を行い、議論を呼びました。

その後、3次元の人物像に物語を語らせる手法を発展させ、他者の物語にたいして現代を生きる鑑賞者がいかに接近できるかを問いかける作品を発表してきました。また、昨年のドクメンタ15における“COMPOSTING KNOWLEDGE WORKSHOP”東京藝術大学グローバルアートプラクティス(GAP)専攻の一員として参加し、ローカルなコミュニティとのコラボレーションを作品に取り入れるアプローチにも取り組んでいます。2023年3月には、そこにいたるまでの系譜を自ら振り返る「自主回顧展:もう一度思い出す」を開催するなど、精力的に活動の幅を広げています。

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